ちゅんだーは地上へ落下中、そして考える。

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<学生オススメ本>学ぶべきは「稼ぎ方」より「使い方」-読書感想「投資家が「お金」よりも大切にしていること」

大学生になると、「お金」がより身近な存在となる。

自由な生活を手に入れる反面、より多くのお金が必要になってくる。

そのため僕のように時給の良いバイトを探すのに精をだしたり、もしくはビットコインのように短期間で大きく稼げる方法について勉強する人もいるはずだ。

また社会に出てからも、お金をどうやって大きく、安定して稼ぐかは大きな課題になってくる。

だからこそ投資の方法や副業などの情報が、本によって紹介され、多くの人がそれを求めるのだろう。

しかし、「稼ぎ方」を教えてくれても、「使い方」を教えてくれる本は意外と少ない。

本著は投資家である著者が日本に根ずいているお金への態度や使い方を通して、「お金」の本質を導き、その広がりと深さを説明してくれる1冊だ。

 

投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)

投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)

 

 

僕たちは「消費」でつながっている

「人は生きているだけで価値がある」とはよく言われる言葉だが、著者は投資家らしい視点でこの言葉を肯定する。

 

それは「消費」という視点だ

 

まず、主に経済は以下の3つの主体からなる。

 ➀ 企業  ② 家計  ③ 政府

 

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 経済において企業と家計の関係は、「企業が賃金を与え、家計が労働力を提供する」という「労働」という視点からの相互関係になる。

しかし著者は、この関係を「消費」というで視点で考える。

たとえば、いちばん極端な例として、赤ちゃんを考えてみましょう。赤ちゃんは自分では何もできないし、もちろん1円も稼ぐことはできませんが、立派な経済主体です。なぜなら、赤ちゃんがいることによって成り立っている会社や産業があくさんあるからです。

(中略)

つまり、赤ちゃんが存在するだけで経済が動いている、ということです。

 つまり、僕たちは生きていく上で必ず何かを「消費」しなければならない。

それは例え自分でお金を稼いでない人であっても同様だ。

だから、生きている、ただそれだけで企業、そして社会に対して「消費」という行動で貢献していると著者は指摘する。

 

ブラック企業は何故なくならないのか

そしてこの「消費」という点で考えると、労働を酷使する企業、いわゆるブラック企業が何故なくならないかわかってくる。

それは僕たちが「安い」ものを求めているからだと、著者は指摘する。

確かに僕たちは、可能なかぎり安いものを求める。

大学での飲み会は安くて多く飲み食いできる場所が良いし、地元に帰るときは格安の飛行機や夜間の高速バスを利用する。

しかし、多くの人たちが「安さ」を求めると、企業側は費用を抑える必要がでてくる。

どの費用を抑えるか? それは人件費だ。

だからこそ、労働者を安く、そして長時間酷使することブラック企業が生まれる。

つまり著者が明らかにしたのは、ブラック企業の原因は僕たち消費者にあるという衝撃的な事実だ。

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僕たちは「使い方」を学ぶべきだ

 本書で示されたのは、僕たちは「消費」という行動で社会と繋がっており、消費は社会への貢献となるが、一方その行動によってはブラック企業を生み出すなどの悪い影響が生じるという現実だ。

だからこそ、僕たちは「使い方」も学ぶべきなのだと著者は指摘する。

そして著者が示したその「使い方」はとても単純だ。

 

それは「お金の使い方に自覚的になる」ということである。

 

著者が言うには、僕たちは無意識のうちに衝動買いをしているということだ。

なんとなくコンビニでお菓子を買ったり、セールをしていたからなんとなく買ったりするなどの経験は誰にでもあるだろう。

そのような衝動買いを減らし、使いたいと思ったものにお金を使う事こそが、正しいお金の「使い方」なのだと指摘する。

世の中は、みんなが使ったお金で成り立っています。(中略)日本の地方や郊外は「ファスト風土」と呼ばれるように、どこに行っても同じような風景(街道沿いにチェーン店やショッピングモールが建ち並ぶ風景)が広がっていますが、それは、みんながそういうお金の使い方をしたから、そうなっているだけのことです。(中略)消費することは、大げさではなく、社会を「創造すること」でもあるのです。p114 p115

 

つまり、自覚的にお金を使うことにより、社会をより良く変えることができる。

そしてそれが最終的には自分の人生が良い方向へと、変わっていくことにつながることを筆者は僕たちに示している。