ちゅんだーは地上へ落下中、そして考える。

医学部受験に6年費やしても不合格した人。腐らず、マイペースに生き抜くのみ

ダークな魔法学園ファンタジー「七つの魔剣が支配する」感想

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率直に言って、かなり面白かった。

作者は前作「天鏡のアルデミラン」で、精霊と呼ばれる生命が存在する世界を舞台に、大河ドラマのような骨太の戦記物を書いていた。そのため本作の面白さは読む前から分かってはいたが、それでも予想よりずっと面白いと感じてしまった。

物語はハリーポッターのような魔法学校を舞台に、剣と刀によるアクションをプラスした学園ファンタジーだが、実際にはかなりダークな話に仕上がっている。

一見華やかな魔法の裏には邪悪な魔道が存在しており、それと対応するように、仲間たちとの友情にフォーカスした学園物語と、暗い復讐の物語が進行する。

このように物語の面白さだけでも満足だが、本作をより面白くしているのは登場する人物がみな魅力的だという点だ。

主人公のオリバーは数あるライトノベルの中でもかなり好印象な主人公であり、またヒロインのナナオも竹を割ったかのような素直な性格でありながら、実は死を求めてしまう二面性がある。

そして主人公たちの仲間はもちろんのこと、彼らと敵対する人物もみな魅力だ。

主人公たちに対して敵意を向ける同級生や、今作での事件を起こした首謀者も、単純に「悪い奴」として書くのではなく、その言動に至る理由や思いを書くことで、憎めない人物になっており、また彼らと主人公たちとの衝突を通して、関係が良い方向へと変わっていく場面はとても感動する。

1巻ではまだまだ序章と言った感じであり、次巻からより中身が濃くなっていくと思われるので、とても楽しみな作品だ。