ちゅんだーは地上へ落下中、そして考える。

医学部受験に6年費やしても不合格した人。腐らず、マイペースに生き抜くのみ

「諦め」という希望。医学部へ入りたい多浪生の君へ。

6年。これは僕が高校卒業後、医学部受験で費やした時間だ。

言い換えれば、医学部を諦めるのにかかった時間とも言える。

 

「努力は実る」「諦めなければ夢は叶う」

 

以上のような努力絶対主義とも言える夢や希望を与えてくれる言葉を、多くの塾や予備校が言っている。

僕も受験生のときにこのような言葉を信じて、努力を重ねてきた。

 

だけどこれらの言葉は嘘だ。

 

正確に言えば「努力は実るかも」「諦めなかったら叶うかも」なのだ。

僕も含め、多くの友達や知り合いがこれらの言葉を信じて医学部受験に臨んだ。確かに彼らの多くは努力を重ね医学部に合格することができた。

でも自分のように合格することができず、諦めた人もいる。そしてまだ医学部を夢見て30歳になっても医学部に挑む人がいる・・・

 

別に僕は医学部に受験する価値がないとは思っていない。

医学部は確かに難しく、多くの時間を勉強に捧げることになるが、それを踏まえても挑戦しがいのある素晴らしい学部だ。

しかし自分には医学部合格の道しかないと思いこみ、その他の道を全て潰すかのような盲目的な努力はするべきではないと言いたいのだ。僕のように。

 

僕が医学部を目指したのは高校生2年の時。特に医者になりたいという強い動機があったわけではない。単純にヒトや動物の生理学的な現象に興味があり、また給料が良いからといった理由からだった。

当時県内で有数の進学校に通い、成績もそこまで悪くはなかったため、医学部もそこまで遠い目標というわけではなかった。

現役時代のセンター試験は8割前後。もちろん不合格だった。そこから浪人するため県内の予備校に通うことになった。

浪人一年目はセンターは770点。二次試験の学力もかなり上がった。それでも不合格だった。

再度挑戦してみようと思い浪人二年目。センターはなんと9割を超えた。塾の先生も祝福し、二次試験に向けて叱咤激励をくれたのを思い出す。しかし不合格。

このときは本当に、本当に悔しかった。

大学のサイトに自分の受験番号がないかを何度も確認し、ないと分かったときには涙が止まらなかった。

そして今度こそ合格を、と始めた浪人三年目。今思えばこの年で医学部を諦めるべきだった。

なぜなら何度も全力で挑戦しても不合格という現実に自信を完全に失っており、合格する未来が全く見えなくなってしまっていたからだ。

しかし今まで費やしてきた時間、周囲の今度こそはという期待、お金を出してくれた親への責任感で、医学部を諦めるのは周りの人々や僕自身に対する裏切りだと感じていた。

そしてなにより「こんなことで諦めていいのか。もっと努力するべきではないか」という、自分を責める気持ちから医学部を諦めることができなくなっていたのだ。

そして加えて三年間、合計六年間も浪人することになる。

 

「諦めたらそこで試合は終了」

 

これは有名なマンガ「スラムダンク」のセリフの一つだ。諦めず最後まで挑戦することの素晴らしさや大切さを教えてくれる。

でも試合と受験は違う。試合は時間が来れば結果に関わらず、終わってくれる。

しかし受験は諦めなければ、もしかしたら人生の終わりまで続くかもしれない。

そして僕のような長年浪人を重ねてきた人にとって、挑戦することより諦めることのほうがずっと難しい。

その結果18歳からの大事な時期を無駄にすることになる。

 

浪人六年目。この時の僕は本当に精神的に限界だった。

そのためずっと今まで見ないようにしていた自分の本当の気持ちを、見過ごすことができなくなっていた。

医学部に行きたい気持ちなんてもう残っていない。それより受験を早く終わらせたい。

その気持ちに気づいた僕は医学部を諦めることを決断した。

 

ただ正直な話、不安しかなかった。

6年間も受験に費やしてきた僕に、はたして将来なんてあるのだろうかと。

当時の僕は本気で「医者になれないんだったら、人生に意味はない」とまで思っていた。だからこそ6年間も浪人を続けたのだ。

だけど医学部を諦めた今、この6年は一体何だったのだろうか。そんな思いが頭から離れなかった。

しかし、不安を感じながら大学へと入学し、そこで勉強をするうちに、僕はこう思うようになっていった。

 

「ああ。思ったより人生、大丈夫そうだな。」と。

 

浪人生だったときの僕は、人生に医学部という道しか見えていなかった。

しかし実際、大学生になって、医学部受験から離れることによって、違う道が見え始めたのだった。

確かに今の日本で、6年というブランクがある僕は、一般的な新卒での就職は望むことができないだろう。普通の人達と比べて、ハードルが高いのは確実だ。

それでも、医学部以外に人生に道があるという事実は、僕にとって希望となった。

今では、浪人の時にはできなかったことや興味のあることに熱中し、そして将来をどのようにしようか考え、頑張っている。

浪人のときには考えられなかったぐらい、本当に楽しい毎日だ。

 

あの時の「医学部を諦める」という決断は、正解だったと強く思う。

 

もし医学部を目指して長年努力を重ねてきている人がこの記事を読んだなら、少しの間考えてもらいたい。

今でも本当に心の底から湧き上がる情熱を持って医学部に入りたいと思っているのか。

それとも完全に自信が無くなっているのにも関わらず、今まで費やした時間と周りの環境から医学部を諦めきれないのか。

もし前者なら不合格の際のリスクを考え、その上で全力で頑張ればいい。

 

でも後者なら、一度諦めるべきだ

 

もちろん受験を諦めるのはとても辛い。それが長年続けてきたならなおさらだ。

それでも諦めるべきだ。諦めることで僕のように新しい道を見つけることができる。

そしてまた同じ道に挑戦することができると思っている。

一度諦めて、それでも医学部に行きたいのなら、その時また挑戦すればいい。

それからでもまだ遅くはない。

諦めた先に、希望はある。

 

 

 

 

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 僕が医学部を諦めるきっかけとなった、人生を変えた本です。

医学部を目指している人にも、また自分の進路に困っている人にも全力でオススメします。

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 浪人しても成績が上がらないと言われますが、何故そうなるのか僕なりに考えてみました。

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