ちゅんだーは地上へ落下中、そして考える。

医学部受験に6年費やしても不合格した人。腐らず、マイペースに生き抜くのみ

医学部を受験する人はこれを読め! 医学部浪人生の人生を変えた一冊 キムナンド著「つらいから青春だ」

 

 

10代の後半から20代の前半の時期。いわゆる青春時代は人生において最も輝い

ている時だと言われている。

しかし僕にとって青春は苦しみそのものだった

受験に捧げた6年。この6年こそ青春だった。

終わりの見えない受験、普通の人生のレールから外れたという実感、そして想像す

らできない自分の将来。それらの苦しみでいつも悩んでいた。

そんな暗い時期、1冊の本が人生を変えてくれた。

それが本書「つらいから青春だ」である.

つらいから青春だ

つらいから青春だ

 

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本書の著者キム・ナンドは当時韓国のソウル大学の教授であり、大学へと通う多くの若者を見てきた人だ。韓国といえば日本以上の学歴社会であり、大学への受験とその後の大学での活動や勉強により人生の道筋が決まってしまう。そんな辛い青春時代を送る韓国の学生たちに向けて書かれた本書は、 韓国のみならず日本にいる学生の心をも震わす熱く、そしてためになる言葉で溢れている。

本著には主に大学生に向けて書かれてはいるが、かつての俺のような苦しい毎日を送っている全ての人にオススメの一冊だ。

その中から俺が医学部を諦めて別の道を行くことを決心させた言葉を紹介したい。

 

あせって人生を安定にゆだねるな

本著で一貫する著者の意見はとても単純明快だ。それは

あせって人生を安定にゆだねるな」である。

君自身について深く考えてみよ。君が別の可能性を十分に考え抜いてから、それがいちばんいい生き方だとい揺るぎない確信をもてたとき、そのときから準備をはじめればいい。そうやってスタートしても、ちっとも遅くない。

俺がこの本を読んだとき、まさしく衝撃を受けた。

当時の俺は医学部合格のため必死で努力し、合格するのに時間がかかってはいるが、間違ってはいないと思っていた。

しかしその医学部のための受験は、別の可能性を考えた上で選んだ道なのか。ただ職業として安定しているから医学部を目指しているのではないか。そう本著で指摘され、俺は自分の見ようとしてなかった本心を見ることになる。

本当に医者になりたいのか。医者じゃなくて公務員でよかったのではないか。ただ単純に医学部受験を決めたのではないか。

それから1年後俺は医学部受験を辞めて、別の道を行くことになる。


「怠惰な努力」をするな

長年浪人している人の多くは成績が伸び悩んでいるのではないだろか。まったく成績が伸びない。進歩が見られない。

実際に自分はそうだった。どんなに頑張って勉強しても成績が伸びず、焦り、自己嫌悪に陥る。そしてもっと努力しなくては、そう強く自分に言い聞かせ、机に向かう。

当時の自分は完全に努力不足が原因で成績が伸びないのだと思っていた。しかし著者は成績が伸びない理由に一つとして次のように挙げる

はっきりとした目標意識と適切な方法がなくしては、どんな努力も時間のムダだ。
ところが多くの人が、「目標」と「方法」はさておいて、それ以上は考えず、「実践」の誠実性ばかりを問題にする。
これはひとつの惰性だ。ふりかえることをさぼった、勤勉なる惰性だ。

かつて自分を含めた浪人生、特に医学部や難関大学などを受験する人の中に、この「勤勉なる惰性」に陥っている人は少なくない。とにかく机に向かい勉強することのみを大切だと思っている。
しかし実際に勉強時間が少ないのではなく、それ以前に何故勉強するのかという目標をはっきりさせ、またどのように勉強するのか。この2つを考えることを怠っているのだ。

 

井戸のジレンマ

長年医学部を受験していた人はなかなか医学部を諦めることができない。その理由の一つに前の記事にも書いたように、今まで受験していた時間が惜しいと思ってしまうからだ。
それを本著では「井戸のジレンマ」という例で挙げられている。

きみはいまい井戸のなかで一本のロープをつかんでぶらさがっている。脱出するにはよじ登らなければいけないが、そんな力はない。このままこらえる力も残っていない。下は暗くて底が見えない。このロープを放せば底に落ちて、全身こなごなになってしまいそうだ。

人生にはときどき井戸にはまったような状況におかれることがある。出口も非常口も見えない。脱出は叶えられそうになく、かといってあきらめるにはとてもおしく、不安で苦しい。

 

まさしくこの「井戸のジレンマ」に当時の俺は陥っていた。

医学部受験を諦めたいけど、諦めたら今までの努力や苦しみを全否定することになってしまう。

そんなロープを離すことのできない状況を解決する唯一の方法は

ロープを手放す。そうだ。あきらめてロープを放すのだ。

そうすれば底に落ちるだろう。

底というのはみえないから深く感じるだけで、じつは思っているより深くはない。

問題の核心は底が見えないというところにある。底が見えないから怖いのだ。

 ロープを手放す。それは一見ただ諦めることのように思えるかもしれない。

しかし、かつての俺のようにこの井戸の中にいる状況では、ロープを手放すことのみが状況を変えてくれる方法だったのだ。

医学部受験を諦めれば、自分の人生に意味がない。

そう思っていた俺にとっては、医学部を諦めるのは辛い選択だった。

 

しかし、実際には俺は今は普通の大学生としてちゃんと生きている。医学部を諦めても人生が終わるということはなかった。

 

 終わりに

 この本を読まなかったら今でも医学部を受験していた。そう思えるほど俺の人生に影響を与えた一冊である。

今年の4月から受験に挑む人は多いだろう。全力で頑張ってほしい。

ただ、受験以上に自分自身の人生と真剣に向き合うことを、忘れないでほしいと思う。